驚いたことに、そこには「都市鉱山」の概念が登場している。Wikipediaにもそこまで「都市鉱山」の起源が遡るとは書いていない。
しかも現在まで至る、このリサイクルという仕事の怪しさと経済的意義が、小説の背景にきちんと描かれている。
二十年前には決してお薦めの本ではなかったと思う。それだからこそ、初版から約五十年経過した今、この本の背景は再び同時代性を持ち始めている。
と偉そうに評論してみたが、そんなことを抜きにして、開高健の豊穣な日本語に触れる喜びに浸ることができた。
お薦めである。
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