2010年01月07日

お上理不尽!

「ずるい!? なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか」を読んだ。

これを読み終えた昨日の夜、ちょうどケーブルテレビで「上意討ち 拝領妻始末」をやっていた。ご存じない方も多いと思うが、この奇妙な題名の映画は、殿様の勝手で側室を押しつけられた家臣が、上意という名のわがままに翻弄される悲劇を描いた傑作である。三船敏郎が主演だが、記憶に間違いがなければ、加藤剛主演でドラマ化もされたはずである。

そのドラマの方で印象に残っているのが、ラストシーン。

結局、側室の生んだ子がお世継ぎになり、側室はまた殿様に召し上げられる。その後いろいろあって、結局側室と家臣は死に、残った隠居(家臣の父)が討手を切り捨て切り捨て叫ぶ。「お上理不尽!」

理不尽であろうともルールはルール。そんな世の中に我慢に我慢を重ねたあげくに、息子と嫁の命を奪われた。失うもののなくなった隠居の悲痛な叫びは心を打つ。実に日本人的な美学である。

で、それは美学に過ぎず、国際的に通用するルールではない、というのがこの本の主旨と言ってよいであろう。これ以上中身に触れることは慎むこととするが、一読の価値があると思う。

posted by 継之助 at 23:28| ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | ばいやーの図書室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アメリカは学校の先生の権限も強いしルールは厳しい。アメリカ人がルールを広めたり標準化したりするのが上手なのは、ルールに力があるからだと思います。日本人はルールの作り方と広め方のノウハウが無いんだろうな。ルールを守らなくてもたいした罰も無かったり抜け道がたくさんあるし、情緒なんかで決まったりしてしまうのに慣れているから。
Posted by てつ at 2010年01月12日 05:57
最近は日本のお役所も法律制定前にパブリックコメントを募集するなど、やり方は徐々にかわりつつあるようです。でも肝心の民間の方が、ルール制定については無関心ですからね。社内ルールでもそう。
Posted by 継之助 at 2010年01月12日 22:56
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